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記事公開日 : 2026/01/21
/最終更新日 : 2026/01/23
ノア精密株式会社は1979年より40年以上東京浅草周辺で、「ハカル」をテーマに「MAG」という自社ブランドにて時計や計器類のものづくりを続けています。お客様の「困った」「わからない」の声を「カタチ」にし、豊かな気持ちで「時」を過ごすお手伝いをさせて頂ける事をミッションととらえており「商品をつうじて社会奉仕」という企業理念を持ち続けています。
今回のストーリーでは、お客様の「困った」から誕生した【MAG無線LAN置掛両用時計セットレス W-787】の開発の裏側についてお話したいと思います。
「電波時計」とは、電波送信所から発信される「標準電波」を受信して自動的に時刻合わせを行ってくれる時計を指します。
日本では福島県と佐賀県にある送信所から広く標準電波が送信され、一般的な電波時計であれば1日1回から数回、時刻や日付のデータを受信するように設定されています。送信される電波内に含まれる時刻情報はセシウム原子時計を使用し、誤差が10万年に1秒と超高精度です。電波時計は定期的に電波を受信して時刻のずれを修正する仕組みになっているため、通常大きく狂うことはありません。
大多数のお客様は問題なく電波を受信できていますが、以前より一部のお客様から「電波時計を購入したが時刻があわない」「電波時計なのに時刻がずれる」というお問い合わせが発生しており、点検修理のためお預かりするケースがあります。お預かりした製品を調べてみると、原因のほとんどは送信所からの電波の受信に失敗による「時刻が合わない・合わせられない」へとつながるものでした。
電波の受信に失敗している主な要因は
というものです。
当社では上記の要因を把握しているので、お客様から「時刻があわない」とお問合せをいただけると解決策をご説明することができます。すると、お客様の時計はきちんと電波を受信でき、そのままご利用いただくケースがほとんどです。
しかし、日中にお問合せできない、自分で解決ができる術がない等のお客様状況により販売店様や当社へクレーム品として返却されることや、場合によっては廃棄処分されることもありました。
このように、本来は製品に問題がなかったのに返送されてしまう現状から「お客様に電波時計をストレスなくご利用いただきたい」と考えていました。加えて、SDGSへの取り組みやサスティナブルな社会への実現にも私達はどのような取り組みができるかを話し合いました。
最初に、お客様の都合にあわせて解決できる方法を提供するため、自社のWEBサイト内で電波時計の時刻があわない時に試してほしいいくつかの項目をブログで公開しました。「電波時計 あわない」とWEB検索をすると、私達のブログがTOP表示されるまで時間はかかりませんでした。ブログにたどり着いたキーワードを確認すると「電波時計 合わせ方」や「電波時計 受信しない」というキーワードも多く、こんなにも困っているお客様が多いのかと改めて確認できるきっかけにもなりました。
【電波時計の時刻が合わない!電池を入れても針が動かない!これって不良品?を即日解決】
https://www.mag-clock.jp/blog/2020/12/02/20201202_denpatokei/
上記のコミュニケーション方法を構築できたので、改めてお取引先販売店様にもブログや動画など各コンテンツを提供し、販売店様が接客される場合の応対方法でも電波時計について理解が広がりました。最近ではお客様自身の扱い方に不備がないかお試しくださった上でお問合せしてくださることがほとんどです。
しかしながら電波時計は、屋外から飛んで来る送信所の電波を受信する必要がありますので、お客様が電波時計を設置される場所や環境により、電波を受信できる/できないが左右されてしまいます。例えば携帯電話も電波が届かない場所が存在するように、地下の奥深くや電波を遮断するような障害物のある場所では正しく受信できないケースが発生しています。
電波時計をご購入後に「時計の設置場所が受信できない!」と初めて判明するのでお客様も落胆されますし、「次回は電波時計なんて購入しない」と半ば諦めてしまいます。私達としては、そのような場所でも安心してお使いいただける時計、お客様をガッカリさせない時計とはどんな時計だろうか?と大きな課題に取り組む形になりました。
ある時、社内のスタッフの一人が「そういえばスマートフォンの時刻っていつも正確だよね」とつぶやきました。「そういえばパソコンの時刻も時刻が正確だよね」「インターネットの時刻情報(NTP)は様々な機器の時刻情報をサーバが補正するから正確な時刻が取得できるんだよね」「無線LAN(Wi-Fi)環境も一般家庭で普及しているし、NTP情報を無線LANから取得して表示できる時計をつくれるのではないか」など話が膨らんでいきました。
最初に、わたしたちはインターネットに接続する時計について市場調査を行いました。市場にはBluetooth接続と無線LAN(Wi-Fi)接続を採用した2つのタイプが存在します。国内の主要メーカーではBluetoothを利用した製品を多く提供している一方で、無線LAN(Wi-Fi)に接続する時計はまだ一般的ではありませんでした。まず、それぞれの違いを分析しながら、消費者のニーズを洞察しました。
Bluetooth時計は多機能性と便利さが魅力である一方で、設定の複雑さや常時スマートフォンとの連携が必要な点が課題として浮かび上がりました。製品化にあたり利便性と手間をどのようなバランスするかが焦点となりました。
一方、無線LAN(Wi-Fi)を利用する時計は国内市場でまだ珍しい存在でしたが、一度インターネットに接続すれば以後スマホやPCとの常時連携が必要なく時計を利用できるため、利便性がよいと感じました。
すぐに協力工場と無線LAN(Wi-Fi)接続時計の開発について話し合いをすることができ、具体的な商品化に向けて動き始めました。
当初の打ち合わせの段階から、時刻の表示方法については接続時のわかりやすさ、設定の複雑さを解消するため、デジタル表示形式で進めることにしました。アナログ式(針)の時計とは異なり液晶画面がある為、現在どのような状態になっているのかを可視化することができ、設定時のフラストレーションも溜まりにくいと想定したからです。また電力を安定して確保するためにバッテリーはUSBによる給電方式を採用しました。
商品のデザイン設計においては、設置場所を選ばない置掛兼用仕様など、多機能性と使いやすさの両立を目指し、情報が瞬時に把握できるように表示の配置を検討しました。また無線LAN(Wi-Fi)接続の状態が一目で分かるアイコンをデザインしてお客様に満足していただけるよう努めました。
ここまではスムーズに事が運びましたが、無線LAN(Wi-Fi)時計はあまり普及していないため、お客様が具体的にどのような点でお困りになるのか想像が及ばないと感じている部分もありました。
そこで、社内の様々な部署・様々な年齢のスタッフに協力を仰ぎ、ワーキングサンプルを数日間利用してもらい実際に疑問に感じた部分などアンケートを実施し回答を集めました。これが後にお客様がご購入検討やご利用される際に参考になるであろうFAQとして機能することになりました。さらに設定時に時計の画面とスマートフォン操作画面を撮影した動画を作成し、取り扱い説明書では表現しづらい部分を補完しました。
そうして開発スタッフだけではなく社内全体で商品化に携わり、「MAG無線LAN置掛両用時計セットレス」は無事販売へと至りました。
「MAG無線LAN置掛両用時計セットレス」販売開始すると、プレスリリースやSNSをご覧になった方から「自社ネットワークで利用可能か」との問い合わせが入り始めました。また多くの方から「ありそうでなかった商品だね」「電波時計が使えなかった場所にようやく導入できそう」とのポジティブな声をいただき反応の高さを実感することができました。
このようにお客様の困り事や問題解決から社内全体の取り組みによって「MAG無線LAN置掛両用時計セットレス」という新製品が誕生しました。全スタッフを巻き込んだ開発により、商品へのより一層の愛着も芽生えたように感じます。この商品が多くの人々に届き、電波時計の「電波が受信できない」と悩むお客様の解決策へつながることを期待しつつ、今後もお客様へ寄り添いつづける商品開発を続けていきたいと考えています。
MAG無線LAN置掛両用時計セットレス
MAG無線LAN時計シリーズ